日産・マーチ
マーチ("MARCH")は、日産自動車が製造・販売するハッチバック型のコンパクトカーである。
派生車種は派生車種の項目を参照。
かつて、トヨタ・スターレットと日本のコンパクトカー市場の人気を二分していた。日欧両市場での販売を視野に入れており、欧州などいくつかの地域では「マイクラ」("Micra")名で販売されている。扱いやすいコンパクトなボディに大人5人が快適に移動できるキャビンを持つ、合理的なパッケージングが特長であり、専門家の評価も高い。特に2代目・K11型は、日欧でカー・オブ・ザ・イヤーを同時受賞するなど、高い評価を受けた。また、日本車としては珍しく、フルモデルチェンジのスパンがかなり長いのも特徴の一つである。ワンメイクレースが行われるなど、手軽なモータースポーツへの登竜門としての一面も持つ。
1981年10月に開催された第24回東京モーターショーに「NX-018」の名で参考出品。長期に渡るプレキャンペーンが展開され、一般公募により車名が「マーチ」と決定された後、1982年10月に発売された。
イメージキャラクターは近藤真彦が起用され、キャッチコピーは「マッチのマーチ」「スーパーアイドル」(いずれも前期型)。
開発は、当時、東京都杉並区荻窪にあった荻窪事業所にて行われた。初代マーチはその荻窪事業所で開発された新車種として最後に開発されて発売された車種である。開発主管は旧・プリンス自動車出身の伊藤修令が務めた。基本デザインは世界的に著名なデザイナーであるジョルジェット・ジウジアーロが行い、生産に向けて社内でデザイン調整が行われた。
生産面にても新型車の日産自動車史上としては異例づくしで、新工場の建設を行い、村山第3工場=
月産能力2万台(当時)や自社系列外発注、新規取引先の拡大、生産工程における車体、塗装、組立に(当時としては世界水準を越える)216台の大幅な産業ロボットを導入した。これにより低原価格、高品質、低コストをめざし、従来車よりマーチの高品質、低価格に貢献した。
約10年という、日本の量産車としては珍しく極めて長いモデルライフであった。当初から最小限の装備だけを持っていたが、最終型にはパワーウインドウ装着車 (FV) も存在した。
当初搭載されたエンジンは、MA10S 987cc電子キャブレターECC仕様 (E-K10)。グレードもE(基本性能に徹し、ビジネスユースに特化したモデル)・L(基本的車種でファミリー若者向実用車)・S(トリップメーターを標準装備し、機能、内装の充実を図ったモデル)・G(最上級モデル)の3ドアハッチバック車4種類だけだったが、後にグレードが充実化され、キャンバストップ車や5ドアハッチバック車、MA10ET 987 cc水冷ターボECCSエンジンを搭載した「ターボ」、MA09ERT930cc空冷式インタークーラー、ダブル過給機付きECCSエンジンを搭載し、ビスカスLSD標準装備のモータースポーツに対応したR、そのグランドツーリング版のスーパーターボなどの車種も登場した。
主な派生車種は、パイクカーの「Be-1」BK10型、MA10Sエンジン搭載・「パオ」PK10型、MA10Sエンジン搭載・「フィガロ」FK10型、MA10ETエンジン搭載や、レーシングフォーミュラーカーの「ザウルスジュニア」NSJ-91型、MA10Eエンジン搭載などが挙げられる。パイクカーの人気は高く、特にBe-1は中古車市場にリセールしたほうが本体購入価格より倍近い値段がつくということで「財テクカー」と呼ばれた。
◆K10マーチの限定車◆
マーチK10型車の
特別仕様限定車
アニバーサリーバージョン
(マーチ50スペシャル)は
すべて3ドアで9K10GL9(F4),
K10FL9(F5),K10AL9(トルコン付)が
1983年6月に発売。
ターボ・ホワイトセレクト仕様車は
車両型式が
04ZK10FTEH1, 04ZK10FTEH1R,
04ZK10FTEH1W, 04ZK10ATEH1,
04ZK10ATEH1R, 04ZK10ATEH1W
の6型式が
1986年4月に発売された。
・ハッチバック3ドア1000L 関東地向(限定車)
車両形式 03ZK10BiP MA10 4MT 1987年10月採廃 3HB・L・4F
・ハッチバック3ドア1000L 関東地向(限定車)
車両形式 03ZK10ABiP MA10 AT 1987年10月採廃 3HB・L・AT
・ハッチバック5ドア1000ディノスバージョン(限定車)
車両形式 K10LP2 MA10 AT 1988年4月採廃 5HB・FC・AT
・ハッチバック5ドア1000 秋田県向(トルコン付)
車両形式 04ZK10LAi P MA10 AT 1988年8月採廃 5HB・FC・AT
Rは、かつて日産自動車が製造販売していた3ドアハッチバック型の自動車で、モータースポーツ用のベース車両である。
初代マーチの競技車両ベース向けのグレードである。主に全日本ラリー選手権で活躍した。スーパーチャージャーとターボチャージャーのツインチャージャー
複合過給機システム、ダブルチャージエンジンシステムを日本初搭載し、車両装備によってタイプ1から3までバリエーションが存在した。専用で超クロースレシオの5速MTを装備していた。ビスカスカップリングLSDを標準装備。
リアのみ、サスペンションに専用外径スタビライザー22 mmを装備。
事後交換を前提としている為に、シート(5ドア車と同型)・タイヤ・ホイールは基本車両となったK10型マーチのベースグレードの安価なパーツが装備されている。内装もセミトリムと簡素である。また、補機類装着スペースの関係から、パワーステアリングが省略されている。
タイプ1から3までは、乗車定員が2人であった。型式はE-EK10FR。
ラリーパーツ
ニスモ製ロールバー(ノーマル車を除く)
ニスモ製大型フォグランプ(ノーマル車を除く)
ニスモ製マッドガード(フロント・センター・リヤ)(タイプ1・タイプ2に標準装備)
ニスモ製専用ステアリングホイール
(タイプ1・タイプ2に標準装備)
ニスモ製革巻きシフトノブ
(タイプ1、タイプ2に標準装備)
ニスモ製フルハーネスシートベルト
(タイプ1に標準装備)
専用トリコロール大型カラーリング
(タイプ1に標準装備)
(注、それ以外は車体色が♯531白、バンパーは黒)
オイルクーラー(ノーマル車はオプション装備、タイプ1, 2まで標準装備)
オーテックジャパンオプション
(注、オイルクーラー装着の場合、エアコン装着不可)
※「ニスモ製品」はオーテックジャパンにて装備した。
なお、競技専用車両のため、メーカー保証の内容が異なっており、車両登録は無改造のノーマル車を除いて、当時の改造申請に基づき車両の持ち込みで手続きを行う必要があった。
1982年10月 初代マーチ (K10)発売
1985年2
月 マイナーチェンジでK10マーチシリーズ中期型へ。 3ドアハッチバック「ターボ」新発売(1型)
1987年8月 マイナーチェンジで中期2型へ。新車種でK10キャンバストップ仕様車の登場にともない「ターボ」の内装や機構など一部変更とパワーステアリング装着車の拡大。(メーカーオプション)
1989年1月 マイナーチェンジでK10マーチシリーズ後期型へ 3ドアハッチバック「ターボ」発売(2型)
1991年2月 同型エンジン使用の パイクカー第3弾フィガロ発売
1991年中期頃、発売終了
#1型 (初期型)について
車種記号、
K10GFTI (5速MT)、K10GATI (3速AT)
1982年新発売当初、
(4MT)の[E]→(Easy drive,車の基本性能に徹した車) 、(4/5MT) (3AT)の[L]→(Luxury,マーチの基本的な車種でファミリー若者向実用車)、(4MT)(3AT)の[S]→(Sufficient,機能、内装の充実を図り実用性に富んだラグジュアリーカー)、(4/5MT)(3AT)の[G]→(Grandスポーティムードの最高級車でマーチのイメージリーダーカー)タイプが、3ドアHBのみであった、K10マーチも、少変更の後、(1983.4)ファッショナブルスタイルと豪華装備、ラグジュアリーな3ドアHB(4MT)(3AT)[COLLET]、スポーティな、3ドアHB(5MT)[G-1]を加え、よりファミリーユースの (1983.5)5ドアHB(4MT)(3AT)の[FC]、(4/5MT)(3AT)の[FT]、1984年2月追加発売、豪華装備の5ドアHB(5MT)(3AT)の[FV]とバリエーションを広げ、1985年2月マイナーチェンジ[中期型]。アシストリー (非対称)なデザインのフロントグリルを与えられ、全車新機軸に変わり、ラインナップも、3ドアHBタイプは[E]は旧専用グリルのままで、[L]、[G]、[COLLET]、[G-1]←(※ターボと同形状のリアスポイラー付)で、5ドアHBタイプは[FC]、[FT]、[FV]と勢ぞろいし、よりスポーティグレードの
3ドアHBの[ターボ]を追加した。
ふたつの日本初、1000 cc4気筒ターボ、日本初、1000 ccターボ オートマッティクと謳われ、キャッチコピーは、"遊iNgターボ"、"I am"、"街の太陽"などがあり、当時のイメージ若手タレント、近藤真彦が生き生きと前面に押し出され、ムードを盛り上げていた。
同じ年式のK10マーチの他グレードの燃料供給装置が電子制御キャブレター (ECC)に対して、今まで上級車のみの採用であったマイコン制御による、エンジン集中制御システム(ECCSエックス)の採用、新開発の小型ターボチャージャーにより、最高出力85 ps、最大トルク12.0 kg・mを出した。(他グレードは57 ps, 8.0 kg・m)新設計のUターン型ロングインテークホールドや、4連サイアミーズシリンダーブロックの採用により、低速トルクを図り、ダッシュ力を高めている。この出力に合わせて、足回りもファインチューニング、タイヤホイールもサイズアップ、マフラーのデュアルエキゾースト化。外装も専用エアロパーツや、フロントバンパー下に専用丸形ハロゲンフォグランプが採用されていた。
内装も専用メーターフードの採用により、合体ロボ感覚のコクピットを演出していた。左右にむかって左がフェールメーター、右がテンプメーターを配し、独立シェルに覆われ、メインメーターも、タコメーターがアナログ式、スピードメーターがオレンジのデジタル式とした、ハイブリッドメーターを採用、専用デザインのステアリング中央には、エンジンの性能曲線グラフを配している。シートも、ハイバックのバケットタイプを採用、ブラックを基調とし、明るめなオレンジのアクセントと新デザインのTURBOの文字を織り込んでいる。
大型ハロゲンヘッドランプ
丸形ハロゲンフォグランプ
電動リモコン式ドアミラー
ハイブリッドメーターパネル(液晶デジタル式スピードメーター/アナログ式タコメーター)
ブースト計
小径三本スポークステアリング
フットレスト
ガングリップシフトノブ (5MT)
バケットシート
エアロスポーツバンパー
サイドマッドガード(サイドステップ)
リアスポイラー
デュアルエキゾーストパイプ
フルホイールカバー
前輪ベンチレーテッドディスクブレーキ
リアスタビライザー
165/70HR12スチールラジアルタイア
ガラスサンルーフ
175/60R13 76Hスチールラジアルタイア&13インチアルミロードホイール(タービンイメージと8ビートの音符をデザインしたZ1タイプのシルバー切削仕上げ、とフィンタイプ、シャンぺンゴールドとホワイトカラー2種は
メーカーオプション)。
AMラジオ、AM/FMマルチラジオ付カセットステレオ
シートウェアー(ストライプデザイン)はディラーオプション。他、オプションパーツが別カタログで多数用意されていた。
(K10マーチ中期型オプションパーツカタログ参照の事)
-ボディカラー/シートカラー(シンカーパイル・平織り)-
ターボ専用アクセントストライプ(※外板色がモノトーンの場合とツートーンの場合で、色、形状が異なる)
・寸法
全長×全幅×全高 [mm]: 3730×1570×1385
室内寸法 長×幅×高 [mm]: 1715 ×1305×1145
ホイールベース/トレッド前/後 [mm]: 2300/F1350/R1330
最低地上高 [mm]: 150
車両重量 [kg]: (5MT/3AT)710/730
乗車定員 [名]: 5
・性能
登坂能力 (tan)θ: 0.62
最小回転半径 (mm): 4.7
燃料消費率 : 10モード(運輸省審査値)km/L(5MT/3AT)、18.8/15.8、
60 km/h 定置走行 km/l(5MT/3AT)、30.2/25.6
・エンジン
形式、MA10ET型
種類、シリンダー数 : 水冷直列4気筒OHC
シリンダー(内径×行程 [mm]): 68.0×68.0
総排気量[cc]: 987
圧縮比: 8.0
最高出力 [PS/rpm]: 85/6000
最大トルク [kgm/rpm]: 12.0/4400
燃料供給装置: ニッサンECCS
バッテリー容量 [V-Ah]: 12-30
使用燃料・タンク容量 [L]: 無鉛レギュラー・40
エンジン整備重量: 85 kg(3AT車)
・諸装置
クラッチ形式: (MT)乾燥単版ダイアフラム、(AT)トルクコンバーター、トランスミッション : 5速MT/ニッサンマチック・フロア(3AT)
ステアリングギア方式: ラック&ピニオン
懸架方式(前/後): 独立懸架ストラット式(ネガティブスクラブサス)/スタビライザー付4リンクコイル式
主ブレーキ(前/後): ベンチレーテッドディスク式(セミメタルブレーキパッド)/
リーディングトレーリング式
駐車ブレーキ: 機械式後2輪制動
タイヤ(前/後): 165/70HR12
・1987年8月マイナーチェンジ[中期2型]
K10マーチターボなど一部変更。
新車種新設時について。
1987年8月、キャンバストップ仕様車、車種新設。
L型5速仕様車を除く全車にパワーステアリングを
拡大設定、(メーカーオプション)、車体色に新色を
追加、内装ではトリム、シート生地の変更など。
この時の車種構成は、3ドアハッチバック車が
E、L、G、パンプス、コレット、キャンバストップ、
ターボ、
5ドアハッチバック車がFC、FT、FT
(3ドアハッチバック車、G-1仕様は廃止)
・マーチターボ変更点・
新形状デザインのステアリングホイールの採用、
シートパターン及び表皮材の変更。
パワーステアリング装着車の設定
(ラインオプション)。
MA10ETエンジン搭載車はパワステ追加に伴い、
アイドル回転数補正補助の変更と空燃比の最適制御に
より、EGR装置を廃止。
ターボのボディはドア下端にターボストライブを採用、
またバックドア上端にターボストライプと同デザインの
ターボロゴステッカーを装着。
・ターボ車フルカラー仕様(オプション設定)
ドアミラー、サイドマッドガード、ホイールカバー、
リヤスポイラー、リアライセンスランプ、及び、
フルバンパーのフルカラー化を行い、
グレードアップ感アップ、イメージアップを図った。
・内装変更点・
従来は平織り/トリコットだったが新規に平織りに変更。
・ボディカラー/内装色・
ターボの外装色は、
♯531クリスタルホワイト、
♯532ブラックメタリック、
♯BG1グレーイッシュグレーメタリック
♯5G4ブラックメタリック/シルバーメタリックのツートーン
内装色はブラックを基調とした。
ニッサンE-K10
車種記号、K10GFTP(5速MT)、K10GATP(3速AT)。
エンジン
MA10ET、排気量987 cc、出力76 ps(NET/ネット値)
長く生産し続けていたK10型マーチも2度のマイナーチェンジを繰り返し、(1型マーチターボはその1度目)大まかにはフロントグリルの意匠形状変更、前/後バンパーの形状を行った。最終的には、3ドアハッチバックは、4速MT/3ATの[E]、[i・Z]、5速MT/3速ATの[PUMPS]、[COLLET]、[ターボ]、[スーパーターボ]、モータースポーツ専用車両[R]、
5ドアハッチバック、4速MT/3ATの[i・Z]、
5速MT/3速ATの[FT]、[FV]、[iz-F]とラインナップ、
ここで述べる、1989年1月登場の2型(後期型)ターボは、この時点で、前期型のような派手さは影を潜め、外見上、スーパーターボと同じ、リアスポイラー、デュアルマフラーが付くに留まり、専用チッピングガードの採用、ボディサイドのウレタンモールを廃したのみ、ともすれば、ノーマルグレードとあまり変わらない外見になった。
内装は、K10型マーチのトップガンであるスーパーターボと同じシート、ステアリング、メーターパネル、ドア内張りとなり、スーパーターボ/Rに設定の時計、電圧計、ブースト計の中央別置き三連メーターが取り去られる形になっている。エンジンは、コンパクトで高性能なMA10ET、従来のMA10Sをベースに水冷式ターボチャージャーを装着。燃料装置や点火時期、空燃費などをマイコン(!)でコントロールするECCS(エンジン電子集中制御システム)を採用。燃料噴射システムも各シリンダーが吸入行程に入るのに合わせて順次噴射するシーケンシャルインジェクションを採用し、パワーと経済性を両立させている。
電動リモコンドアミラー
AM/FM電子チューナーラジオ一体式カセットデッキ(ドルビー付き)
本革巻き3本スポークステアリング
パワーステアリング
フロントローバックバケットシート
マッドガード(フロント・リア)
リアスタビライザー
165/70R12 77Hラジアルタイヤ
#531クリスタルホワイト
#549シルバーメタリック
#532ブラックメタリック
#TH9トワライトブルー
-内装 -
トリコット(シート表皮メイン部)
ガラスサンルーフ(メーカーオプション)
※注、注文時に申し受け。
サイドシルプロテクター(メーカーオプション)
電動リモコンキャンバストップ(ワンタッチ機構付き)(メーカーオプション)175/60R13 76Hラジアルタイヤ(アルミとセット)13インチアルミロードホイール(シルバー切削仕上げ/ホワイト)
寸法
全長×全幅×全高 [mm]: 3735×1560×1390
室内寸法、長×幅×高 [mm]: 1715×1305×1145
ホイールベース [mm]: 2300
トレッド前/後 [mm]: 1350/1335
最低地上高 [mm]: 150
重量・定員
車両重量 [kg]: (5MT)720(3AT)740
定員(名) : 5
・性能
最小回転半径[m]: 4.7
燃料消費率 : (10モード運輸省審査値) [km/L]: (5MT)18.0(3AT)14.2、
60km/h定地走行(運輸省届出値) [km/L]: (5MT)28.4(3AT)24.1)
・エンジン
形式、MA10ET型
種類・シリンダー数、OHC水冷直列4気筒
シリンダー(内径×行程) [mm]: 68.0×68.0
総排気量 [cc]: 987
圧縮比: 8.0
最高出力 [PS/rpm]: 76/6000
最大トルク [kgm/rpm]: 10.8/4400
燃料供給装置、ニッサンECCS
使用燃料・タンク容量[L]:
無鉛レギュラーガソリン・40
・諸装置
トランスミッション、5速フロアシフト・3速オートマチックステアリングギヤ形式、ラック&ピニオン式 懸架方式(前/後)、独立懸架ストラット方式/4リンクコイル式
主ブレーキ(前/後)、ベンチレーテッドディスク式/リーディングトレーリング式
タイヤ(前/後)、165/70R12
1991年12月、初代マーチ(K10型)の販売終了、1992年1月、2代目マーチ(K11型)発売。後継モデルにはマーチターボは設定されずそのままモデル終了となった。
日産自動車が生産していた3ドアハッチバック、K10型マーチに設定されていたホットハッチグレードのひとつである。
型式は5MTがE-EK10GFR、3ATがE-EK10GARである。
1988年8月に発売された競技専用車の「R」をベースに、1989年1月に発売開始された一般向けモデル。型式はE-EK10。国際モータースポーツ規約の過給係数(1.7倍)、または国内競技の過給係数(1.4倍)を掛けた際に1,600ccクラス内へ収まるよう、ベースとなった自然吸気モデルのMA10S型エンジン (987cc) に比べて排気量をダウンさせ、930ccとなっている。
「R」と同じMA09ERT型エンジンを搭載し、最高出力110ps/6400rpm、最大トルク13.3 kgf·m/s (4800rpm)を発生するエンジンは、量産車には珍しくターボチャージャーとスーパーチャージャーの2種類の過給機を搭載し、日産は「ダブルチャージ」と呼称していた。これにより低回転域ではスーパーチャージャーによる瞬発力を、高回転域では余裕のある最高出力を得ることに成功しているが、一方で両機器を積んだことでフロントヘビーの原因ともなっている。機構が複雑であるため、故障の際に修理費が高くつくなどの理由により、販売面では成功したとは言えなかった。そのため次期モデルには設定されず1代限りで廃止となった。
5MT車にはビスカスカップリングLSDを標準で搭載するほか、MA10SではECC (EGR) 、電子制御キャブレターによる気化器が採用されていたが、スーパーターボでは全電子化されたEGI (ECCS) 制御のインジェクター仕様であった。また、補機類装着スペースの関係から、パワーステアリングが省略されている。
外観は従来のスポーティイメージのエアロ感覚でなく、ラリー車の持つコンパクトで
力強い新しいスポーティさを表現している。
専用フードバルジ、専用フロントグリル、専用大型樹脂バンパー、サイドマッドガード
(サイドシルプロテクター)、ルーフスポイラー、フルホイールカバーが特徴的である。
本皮巻き3本スポークステアリング、別置三連メーター(SC作動検知LED付き、ブースト計、電圧計、時計)、
回転計付きメーターパネル、フロントローバックバケットシート、F/RスタビライザーΦ26/Φ18、
デュアルエキゾーストパイプ、フットレストがスーパーターボ装備アイテムである。
ガラスサンルーフ (メーカーオプション)、
13インチアルミロードホイール (シルバー切削・ホワイト)
#532ブラックメタリック #531クリスタルホワイト #TH9トワライトブルー #FH1アクティブグリーン
内装はブラックを基調として内側をシルバーグレー調とした。
・スーパーターボのヘッドランプは60/55wのイエローバルブ標準装備
・リフレクター可動式フォグランプ55wは無色バルブ装備
1989年にケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」は、別アーティストのカバーによるマーチスーパーターボのCM曲として流れる。
1992年1月、初のフルモデルチェンジを受けて2代目に移行する。エクステリアデザインにおいてはそのほとんどを、当時の厚木NTC内デザインセンターで日本ユニシスと共同開発の真っ最中だった日産初の造形意匠用CADシステムである「STYLO(スタイロ)」を、試用段階ではあったが初めて造形の初期段階から運用して制作されたものである。ボディ形式は初代に引き続き3ドアと5ドアのハッチバック型、後期型にはワゴン型「マーチBOX」やオープンモデルの「カブリオレ」もラインナップされていた。また、台湾オリジナルモデルとして、3ボックス(ノッチバック)型のセダンや国内仕様のボレロやルンバに似たクラシカルモデル「ベリータ」("VERITA")があった。
1998年には派生モデルとして、初代・Z10型キューブが生まれている。
フルCセグメントクラスのセダンの初代・P10型プリメーラやフルBセグメントクラスのハッチバック、およびセダンの4代目・N14型パルサーと同じく、日欧両市場を主要マーケットとして、欧州車と比肩しうる性能や快適性、合理的なパッケージングを実現することを目標として開発された。「安かろう悪かろう」とスタイルを強調した「スモールキャビン」が普通であった当時の日本製コンパクトカーの中では異彩を放つ存在であり、日本におけるコンパクトカー市場の革命児とまで称された。
プラットフォーム及びエンジンは新開発され、1.0/1.3LのCG型エンジンを搭載、5速MT/4速ATに加えて、資本提携で事実上傘下に収めていた富士重工業(現・SUBARU)から供給を受けたN-CVTを組み合わせていた。CVTの採用は日産では初である。(CVT供給の見返りとして2代目ジャスティとして売る可能性もあったがスバルがそれを固辞したことで没になる。)なお、マーチBOXにはニーズを考慮してか5MTは一切設定されず4ATかCVTを選択できた。
日本市場での販売実績は、モデルサイクル全般にわたって堅調なもので、マーチに対抗できる商品力を持つ競合車が1995年のトヨタ・スターレット(5代目・EP90/NP90型)や1996年のホンダ・ロゴやマツダ・デミオ、1998年のダイハツ・ストーリア/トヨタ・デュエットまで登場しなかったことや、バブル崩壊に伴い、コンパクトカーの経済性が見直されてきたことなどの要因から、登場から4年後の1996年度には142,000台を販売し、記録を更新しライバルが新型となってマーチよりスペックや安全性が向上しそれに加えて主力グレードが安価であったがマーチはヒットし続けた。当時の日産は莫大な有利子負債を抱え、深刻な経営状態となっていたが、その時期を支えた車種の一つである。このモデルから、日産で初めて、全店舗併売された。
その後トヨタ・ヴィッツ、ホンダ・フィット、スズキ・スイフトなど、競争力の高いコンパクトカーが他社から続々と登場したこともあり、販売台数は若干落ちたものの、2001年製の最終モデルでも月間5,000台程度の安定した販売実績を残している。生産工場はK10型同様村山工場であったが、閉鎖後は追浜工場に移管された。
1998年に誕生したトールワゴン・初代「キューブ」は、マーチの基本コンポーネンツを流用して開発され、こちらも大ヒットした。また、レトロ風のメッキグリルを持ち、リアオーバーハングを延長し独立したトランクルームを備えたセダン、前後をバンデン・プラ風に仕立てた「コペル・ボニート」、光岡「ビュート」、エンジンチューン、機能的なエアロパーツを外装に持つトミーカイラ「m13(初代)」や、無印良品とのコラボレーションモデル「Muji Car 1000」も生まれている。
なお、追加キットだがクラシカルな外観を持つ「ムークプリンセス」などもある。
K11型の評価は日本国内外ともに高く、日本カー・オブ・ザ・イヤー(1992)、RJCカー・オブ・ザ・イヤー(1992)をダブル受賞、欧州でも欧州カー・オブ・ザ・イヤー(1993)を日本車としては初めて獲得する快挙を成し遂げた。これら3賞を同時受賞した日本車は1999年登場のヴィッツ(欧州名・ヤリス)まで登場しない。
2002年2月、2度目のフルモデルチェンジを受ける。生産は引き続き追浜工場で行われ、コンセプトは変わらず3ドアと5ドアのハッチバックのリッターカーであったが、日本市場では、2003年夏には1Lエンジンのグレードが消え、2005年のマイナーチェンジを機に、3ドアモデルは廃止された。欧州市場向けは英国日産自動車製造での生産となり、クーペカブリオレの「マイクラC+C」も発売され、日本にも2007年7月に導入され1,500台が限定販売されている。
技術面ではルノーと共同開発した「アライアンス・Bプラットフォーム」が初めて採用された。日本仕様車では新開発の1.0/1.2/1.4LのCR型エンジンを搭載、5速MT/4速ATを組み合わせていた。欧州では1.6Lモデルも存在する。駆動方式はFFに加え、電動式四駆「e-4WD」も用意された。尚、e-4WDに用いられる後輪用モーターは日立製作所の業務用洗濯機のものを流用していて、後にマツダのデミオとベリーサのe-4WDにも供給された。
また、燃費の向上を目的に、全車に電動式パワーステアリングが採用されている。2代目の特徴の一つであったCVTは当初ラインナップされていなかったが、2005年のマイナーチェンジを機に1.5LのHR型エンジン+CVT搭載のモデルが復活した。CR、HRのいずれのエンジンも電子制御スロットル仕様となる。
くりくりしたヘッドランプとカエルの顔をイメージさせる特徴的なエクステリアデザインは、NTC内デザイン本部第一プロダクトデザイン部(担当:猿渡義市)によるもの。欧州向け日産車に共通するウイング型のグリルをはじめ、丸くラウンドしたルーフや、わずかに残されたリアノッチ、ショルダー部分のキャッツウォーク形状には2代目の面影を残す。競合車種と比較した場合、全長が短いことや、後ろ下がりのルーフ形状のため、後席居住性やラゲッジスペースは若干劣ることが多い。また、日本仕様車では多彩に用意された個性的な内外装色も特色であり、自動車の優れたカラーデザインを顕彰する「オートカラーアウォード」を3度(内グランプリ2度)受賞している。ちなみに、初期型に設定されていた内装色の「シナモン(オレンジ)」は開発段階で微妙だという意見が出たものの、当時最高経営責任者だったカルロス・ゴーンの「いいじゃないか!」という一言で市販が決定した。
ゴーンCEO着任後、初めて開発された車種として、その売れ行きには注目が集まったが、発売初年度の日本市場では月販目標台数8,000台を大幅に上回る月平均14,000台を販売した。その後、他社から競合車が続々と発売されたこともあり、販売実績は低下傾向となった。しかし近年では他社の競合車種がモデルチェンジするたびに車両のサイズを拡大する傾向にあるなか、マーチは車幅などのサイズが比較的小さい車種ということもあり、発売後4年を経過した2006年時点でも月5,000台程度をコンスタントに売り続けていた。
このモデルから、車両の構造上字光式ナンバープレートが装着できなくなった。
K12は、同一プラットフォームを利用する他のメーカー車がある他に、スタイリング改造メーカーが利用する種車にもなっている。代表的なところでは、光岡・ビュートは、リアオーバーハングを延長し、独立したトランクを備えたセダンである。以前はK11ベースであったが、2005年9月の13年ぶりとなるモデルチェンジでK12系ベースに移行した。ビュートの妹分といった位置付けの、キュートもある。他にもビートル風やセイチェント風などといったモデルがある。
改造車では、トミーカイラ「m13」もK11型に続いてK12型ベースとなった。
2010年7月におよそ8年半ぶり、3度目のフルモデルチェンジを受ける。今回は日本国内での生産はなく、タイ・中国・インド(ルノー・パルスとの混産)・メキシコ・ブラジル・台湾の各工場での生産となる。日本仕様は追浜工場製からタイのタイ日産(旧:サイアム日産オートモービル)製に変更された(なお、日本向け仕様については追浜工場にてPDIが行われる)。日本での月間販売目標台数は4000台と発表された。
プラットフォームはレイアウトの最適化とシンプルなボディ構造を追及し新開発されたVプラットフォームを採用。低重心化とタイヤを四隅に配列したデザインとしたことでリアトレッドを拡大すると共に、シル部も外側へ張り出したことでコンパクトでありながら踏ん張り感のあるプロポーションとした。また、後端はわずかに跳ね上がるような流線型のルーフラインとしたことで空力性能を高め、燃費向上に貢献した。また、特徴の一つである丸型ヘッドランプやアーチを描くサイドウィンドウはマーチのDNAである「フレンドリー」を継承する為、先代のK12型に近いデザインとした。
エンジンは軽量・コンパクト・低フリクションロスに優れた燃費効率を持つ新開発のHR12DE型直列3気筒DOHC12バルブエンジンに変更となり、トランスミッションはCVTに2段変速の副変速機を組み合わせた「新世代エクストロニックCVT」を全グレードに採用。また、「12X」と「12G」には信号待ちなどの停車時にエンジンを自動停止するアイドリングストップ機構を備える。このアイドリングストップ機構はアイドリングストップ作動中にステアリングを進行方向に切り始めるとエンジンが再始動するため、ドライバーの意図に合ったスムーズな発進を可能にしており、また、ブレーキペダルの緩め方一つでエンジンの再始動やアイドリングストップの維持などを車両が最適な判断を行うことで違和感を低減している。これらにより、「12X」・「12G」は26.0km/L(10・15モード)の低燃費を達成。アイドリングストップ機構を搭載しないグレードを含めて全車「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」と「平成22年度燃費基準+25%」を同時に達成した。なお、日産では既存のエンジン車に次世代環境技術を搭載した"エンジン進化型エコカー"として「PURE DRIVE(ピュアドライブ)」を展開しており、4代目マーチは「PURE DRIVE」の第1弾として展開する。その証として、「12X」と「12G」にはリアに「PURE DRIVE」エンブレムが装着される。
グレード体系は装備を充実しながら130万円を切ったスタンダード仕様の「12S」、アイドリングストップ機構に加え、インテリジェントキー、カラードドアハンドル等を装備した充実仕様の「12X」、UVカット機能付プライバシーガラス(リアドア・バックドア)、オートライトシステム(フロントワイパー連動、薄暮れ感知機能付)、タコメーター、オゾンセーフフルオートエアコン、SRSカーテンエアバッグシステム等を装備した上級仕様の「12G」の3グレードを用意し、「12X」と「12G」には4WD車も設定される(4WD車のグレード名称は「12X FOUR」と「12G FOUR」)。また、オーテックジャパン扱いのカスタムカー「ボレロ」もモデルチェンジを行い、同日に販売を開始した。販売開始当初、ボディカラーは9色(うち、特別塗装色3色)が設定されていたが、「12S」は「バーニングレッド」、「パシフィックブルーパールメタリック」、「シャンパーニュゴールドメタリック」を除く6色、「ボレロ」は4色であった。
なお、3点式シートベルト(前席のみプリテンショナー機構、ロードリミッター機構も付く)、EBD付きABSが全グレードで全席標準装備。「12G」以外でもオプションでサイド・カーテンエアバッグが選択できる。
2013年6月改良型では新たにジュークやZ34型フェアレディZに続くプレミアムスポーツバージョン(実質的にコンプリートカー扱い)である「NISMO」を設定することが発表された。マーチNISMOでは他の車種と異なり、モータースポーツファンやスポーツドライビング志向のユーザーのみならず、より幅広い層のクルマ好きユーザーにも提供できるよう、「NISMO」および「NISMO S」の2グレードが設定された。「NISMO」は、「X」をベースとした低燃費・エコ志向の1.2L・CVT車。「NISMO S」は、「S」をベースとして海外向けに設定されているHR15DE型エンジンにチューニングを施して出力・トルク共に大幅アップさせた専用仕様のエンジンを搭載し、車体剛性のアップも行ったパフォーマンス志向の1.5L・5MT車(なお、5MT車は海外向けでは設定があるものの、日本国内向けでは4代目にフルモデルチェンジされてから設定されておらず、今回の「NISMO S」が日本国内向けでは唯一の5MT車となる)。ボディカラーは既存の「ピュアブラックパールメタリック」と「ブリリアントシルバーメタリック」に加えて、NISMO専用色の「ブリリアントホワイトパール3コートパール(特別塗装色)」の3色展開となる。この「ブリリアントホワイトパール3コートパール」は2014年5月の一部仕様向上に伴い、他のグレードでも設定できるようになった。
2016年9月29日 - 30日にフランスで開催された「パリモーターショー2016」にて 新型「マイクラ Gen5」を初公開。5代目モデル(K14型)が先行発表された。この欧州向け左ハンドル仕様車(マイクラ)をルノーの欧州域内の工場で生産するが、この時点において日本市場向けマーチを含む欧州向け以外のマーチ / マイクラの次期モデルについて公式アナウンスはされていない。
2017年1月からフランスのルノー・フラン工場で生産を開始。3月に欧州において発売した。
プラットフォームは先代からのVプラットフォームを改良して使用。ボディは低く(-55mm)、長く(+174mm)、幅広く(+77mm)、ホイールベースも長く(+75mm)された。クラストップレベルの室内空間の広さを実現した、という。全幅は1,743mmと、日本の小型車枠を超えるサイズにまで拡大されている。
エンジンはダウンサイズされた。HR09DET型・0.9L 直3ガソリンターボ90PS、BR10DE型・1.0L 同自然吸気71PS、K9K型・1.5L 直4ディーゼル90PSの3機種。トランスミッションはすべて5MTのみ。なお1.0L・NAは遅れて5月の発売とされた。
2019年1月28日、新開発エンジンを発表。HRA0DET型1.0L・3気筒ターボの「IG-T」100PS(トランスミッションの違いで2種)、およびHR10DDT型1.0L・3気筒ターボの「DIG-T」117PS。トランスミッションは「IG-T」には5MTに加えこれまで設定のなかったCVTが追加された。また「DIG-T」には6MTが組み合わされる。引き換えに0.9Lターボはラインナップから落とされた。この時点では1.0L NAと1.5Lディーゼルは残ったが、2020年5月時点で両者は選択できなくなっている。