ヒュンダイ・エラントラ
ヒュンダイ・エラントラ(Hyundai Elantra)は、韓国の現代自動車が生産するセダンを中核とした小型乗用車である。4代目はヒュンダイ初、そして韓国車初のハイブリッドカー(が設定された車種)でもある。
なお、韓国国内ではエラントラは初代のみを指す呼称であり、2代目以降は一貫してアバンテ(Hyundai Avante)の名称を使い続けている。
また過去のモデルとの併売が間々ある中国では実に4世代ものエラントラが併売されており、2016年5月現在北京ヒュンダイ公式サイトにはXD系(Elantra)、HD系(Elantra Yuedong)、MD系(Langdong)、そして最新型のAD系(Elantra Lingdong)が掲載されている。
1990年、ステラの後継車種として登場。ただしこの車名に関して、ヨーロッパでは英ロータスから、オーストラリアでは三菱自動車の現地法人から、それぞれクレームがついたため、これらの地域では2代目まではラントラ(Lantra)の名称が使用された。
発売当時はそれほど人気モデルではなかったが、経済性や性能で次第に評判を得て、最後は国内・海外合わせて100万台以上の販売実績を誇るベストセラーとなった。またこのエラントラ並みの大きさや性能を持つ車を韓国では「準中型車 () 」または「中小型車 ( 」と呼び始めたが、後にこれは韓国でCセグメント車を称する名称になった。
1995年3月登場。この代から韓国ではアバンテ(Avante)に車名が変更された。
同年9月にステーションワゴン「アバンテ・ツーリング(AVANTE TOURING)」も発売されたが、韓国国内ではステーションワゴンが売れないため後継となるXD型では設定されなかった。
1998年2月にマイナーチェンジ、前期モデルと区別するために「オールニューアバンテ(All New AVANTE)」と呼ばれるようになる。同時にアバンテツーリングもマイナーチェンジし「オールニューアバンテツーリング(All New AVANTE TOURING)」と呼ばれるようになった。
また、オールニューアバンテには韓国国内初となるリーンバーンエンジンを搭載したモデルが設定された(ちなみに、ニューアクセントにも同時期にリーンバーンエンジンが搭載された)。
2000年4月登場。韓国ではアバンテXDとして発売されている。開発コード名の「XD」は「エクセレント・ドライビング」の略称であり、後期型韓国仕様CMではその旨が言及されている。前作と異なり、かなり直線的な外観を特徴としている。ボディタイプは4ドアセダンおよび5ドアハッチバック(エラントラユーロ)が用意されている。韓国市場ではアルファ1.5Lガソリンエンジンとベータ2.0ガソリンエンジンを搭載しており、韓国以外の市場では1.5Lディーゼルエンジンを搭載したモデルも販売された。 アルファ1.5ガソリンエンジンの場合、リンバンとDOHCの2種類のバリエーションが存在した。 同年11月にはテラスハッチバック型の5ドアモデルが韓国市場に発売。 基本仕様は1.5ガソリンエンジンを搭載しており、「レーシング」グレードでは2.0ガソリンエンジンを搭載し、より強力な性能を追求した。 2002年には日韓ワールドカップを記念した3000台限定の「ワールドカップエディション」が韓国市場で販売された。2003年にマイナーチェンジが行われ、フロントマスクが大幅に手直し(フェイスリフト)された。初期型と異なり、曲線を多用したデザインに変更された。韓国仕様での変更点としては、VVT を1.5L 仕様にも拡大適用、ABS を最下グレード除外前グレードに拡大などがある。2004年には従来の1.5ガソリンエンジンを1.6ガソリンエンジンに置き換え、2005年には1.5ディーゼルエンジンを韓国仕様に追加した。
韓国で2006年にHD型にフルモデルチェンジされた後も、日本・中国・インド等では引き続きXD型が販売されている。
ほぼ5ナンバーサイズと言って差し支えない(全長・全高に至ってはT240系アリオン/プレミオよりもむしろ短い。)が、全幅が2.5cmはみ出している為3ナンバー登録である。
日本では2001年発売。当初はセダン(エラントラ)とハッチバック(エラントラ ユーロ)の両方が販売されていたが、2003年のフェイスリフト後はセダンのみのラインアップとなっている。
日本仕様車にはβシリーズの直4DOHCエンジンが用意されている。
2,000ccは全車ATだが、1,800ccに関しては前期型のセダン(1.8GL GH-XD18型)に5速MTが設定された時期があった。
なお、当初セダン3グレード/ユーロ2グレードでそれぞれに2種類が設定されたがその後のグレード整理によりユーロは1,800ccのみとなっていた。またフェイスリフト直後も1,800ccのみの設定だった。
車体価格の安さ(後期型税込み価格は約140万~165万円)から、都内の一部の個人タクシーで採用されている。
日本市場からは販売の低迷から2008年4月7日に販売を取り止めることを決定し、在庫が無くなり次第販売終了となる。
なお2009年5月21日現在ヒュンダイモータージャパン公式HP内のラインナップからは姿を消している。
HD系は日本に投入されていないが、それと同一のプラットフォームを使用したハッチバック及びステーションワゴンのi30が投入されていること、その上i30自体アメリカではエラントラを名乗ることを考えると、事実上この一連の出来事は「セダンからHBおよびSWへの完全移行を伴う実質的なフルチェンジ」と解釈しうるものである。
オリンピック直前に北京タクシーとしておよそ8万台が受注され、北京市内のタクシーの相当量で使用されたことがある。中国においては、MD系が登場した2012年4月現在においても、フェイスリフトを重ねながらXD系の販売が行われて続けている。中国名は「伊蘭特」。現在販売されているものは外観上基本的には他国向けの後期型と大差はない。しかしグリルとフロントバンパーが変更されており、さらにメーカー文字エンブレムは「Hyundai」ではなく現地合弁の「北京現代」となっている。北京現代のラインアップ刷新で2019年からは販売を終了している。
2006年4月のニューヨーク国際オートショーで世界初公開された。続いて韓国でも同じく4月開催の釜山モーターショーで新型アバンテが発表されたが、ストライキの影響で生産が遅れ、6月にようやく販売を開始した。歴代のエラントラ初めてMDPSが装着された。 しかし、初期のMDPSにおいては現代自動車も確信がなかったため、時間と共にハンドルロック現象、カップリング耐久性不良問題などの品質問題が発生し始めた。なお北米では同年秋からの発売を予定している。ボディタイプはセダンのみ。エンジンは北米仕様が2.0L(ベータエンジン)で、韓国仕様はこれに加えて新開発の1.6L(ガンマエンジン)、および1.6Lのコモンレールディーゼルエンジン(Uディーゼルエンジン)も用意される。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがインホイールタイプのマルチリンク。ボディーサイズ(韓国仕様車:06年6月19日現在)は全長4,505、全幅1,775、全高1,480(単位mm)で、先代型(XD系)に比べ全幅・全高が約5cmほど拡大されている。
韓国名はソナタ、グレンジャー同様サブネームが外れ「アバンテ」のみとなるが、便宜上「アバンテHD」としばしば呼ばれる。
韓国仕様は2007年11月、i30の2.0L車投入により2.0L車の販売は打ち切られた。
また、アメリカ仕様車においてはすでに販売されているセダンだけでなくi30のステーションワゴン仕様「i30 CW」が"ELANTRA TOURING"として発表されている。
前後のデザインを大幅に変更した中国仕様車(コード名HDC)が北京現代汽車から発売されている。中国名を「悦動」としており、併売されているXD型(「伊蘭特」)と区別している。
また2018年現在、中国市場において本車をベースとした電気自動車「エラントラEV」が販売されている。上述のようにHD系の中国名は「悦動」だが、このモデルに関しては「新伊蘭特EV」と表記されている。
2009年4月のソウルモーターショーでハイブリッドLPiが初公開され、同年7月8日から発売開始された。LPGのハイブリッド車としては世界初であり、同時に韓国車初のハイブリッドカーでもある。
1,600ccLPiエンジンにCVTが組み合わされており、バッテリーはリチウムイオンポリマー二次電池。尚、これに関してはLG化学のものであると報じられている場合がある。外装に関してはヘッドライトとリヤテールレンズにLEDを内蔵した専用品と専用エンブレムを装着。また、外装色にはLPi専用のグリーンも用意され、専用のエアロパーツ類も装着されている。内装に関してはメーターを除いて大きな変更点は見られない。
朝鮮日報の報道によれば、アバンテ・ハイブリッドLPiの燃費(燃料価格比)はガソリン車換算で38-39km/lと試算されている。
しかし、停車中にエンジンだけでなくクーラーまで停止してしまうなどの問題も抱えていた。
2010年7月 2011年モデルを発表。内外装のリフレッシュと安全性能と環境性能の向上が図られた。尚、後述のMD型(5代目)発売後もエコ需要に積極的に対応することを目的に当面の間併売される。
2010年4月の釜山モーターショーで発表され(同モーターショー唯一のワールドプレミア)、同年8月に発売を開始。外観はYF型ソナタやRC型アクセントと同様に"fluidic sculpture"(流体の彫刻)と呼ばれるスタイリングをまとっている。サイズは全長4,530mmx車幅1,775mmx車高1,435mmと旧型に比べてそれぞれ+25mm、±0mm、-45mmとなることでワイド&ローを強調。装備的にはHIDヘッドランプやLEDテールライト、両席エアバッグとサイドエアバッグ、トランクルームから操作できる可倒式リヤシート(トランクスルー)、リヤパーキングアシストシステムなどといったクラスを超えた上級装備を備えながらも価格上昇を最小限に抑えた。エンジンは140PSを誇る1.6LガンマエンジンのGDi版に6速ATが組み合わせられる。
尚、グレードは装備の差異に応じて「デラックス」「ラグジュアリー」「プレミア」「トップ」の4種を設定。
2010年11月11日、韓国で購入から一ヶ月にも満たないMD型アバンテが走行中に火災を起こして爆発・全焼したという事件が報じられ、ヒュンダイは事故の受け付け事実を認めた
2010年11月、ロサンゼルスオートショーにて北米デビューを果たした。北米仕様車には148hpを発揮する新開発の1.8Lエンジンが搭載され、高速燃費は40MPGを誇るとしたが、これは後年米環境保護局(EPA)により燃費が誇大表示と指摘された値である。また、北米向けエラントラの製造はソナタと同様にアラバマ州モンゴメリーの にて行なわれる。
2012年1月、フォード・フォーカス、フォルクスワーゲン・パサートを抑え2012年北米カー・オブ・ザ・イヤーの乗用車部門を受賞した。
2012年2月、シカゴオートショーにてエラントラクーペと、エラントラGT(GD型i30ハッチバックの北米版)が発表された。
2013年4月2日、韓国国内で「アバンテクーペ」を発表(車両は先行してソウルモーターショー2013にて展示)。同日に発売開始した。エンジンは2.0LのGDiのみで、「スマート」「プレミアム」の2グレードを用意。しかし、フレームレスドアなどクーペ専用仕様は導入されなかったため、韓国と米国の両国で販売面では大きく失敗した。
2013年8月13日、セダンを「ザ・ニュー・アバンテ」としてマイナーチェンジ。新デザインのバンパーやリヤコンビネーションレンズを採用するとともに、ヘッドライトにLEDを内蔵することで質感を向上させた。パワーユニットについては、輸入車を中心に、近年韓国内で高まりつつあるディーゼル車人気を背景に、新たに1.6L・VGT直噴ディーゼルエンジンをラインナップし、計3種類とした。
2012年4月の北京モーターショーにて中国仕様車が発表された。中国名は「朗動」。中国専用にフロントグリルとバンパーのデザインが変更されている。朗動は同年8月22日から発売開始された。エンジンは1.6Lと1.8Lの2種類。
2015年9月9日、韓国にて6代目アバンテとして発表。コードネーム「AD」の名で約5年をかけて開発された。
サイズ的には全幅が1.800mmに拡大された以外は先代からの変化は最小限にとどめられている。
パワーユニットは先代からキャリーオーバーのガソリン、ディーゼル、LPiの3種が用意されるが、すべて1.6Lである。尚、ディーゼルはユーロ6基準をパスする改良が施されている。トランスミッションはガソリンとLPiに6速AT、ディーゼルにはシリーズ史上初となる7速DCTが組み合わせられた。
ボディは高張力鋼の使用比率を先代の21%から53%に引き上げたことで、剛性を引き上げながらの軽量化を実現。これはディーゼル車で先代比13.6%増(16.2km/L→18.4km/L)で準中型車最高水準を誇る燃費にも好影響をもたらす結果となった。
安全面についても抜かりはなく、準中型車随一の7エアバッグを搭載し、衝突時にシートベルトが骨盤部分を強く抑える「下半身傷害低減装置」と緊急停止時に後続車両にハザードランプで知らせる「エマージェンシーシグナルシステム(ESS)」も装備。
エクステリアはDH型ジェネシスやLF型ソナタの流れを汲んだ「Fluidic Sculpture 2.0」に進化し、近年のファミリールックである「ヘクサゴナルグリル」も採用。流麗さを強調すると同時に、空力性能にもこだわった結果、クラス最高値となるCd=0.27をマークしている。
2018年9月には大掛かりな改良が施され、三角形をモチーフとするヘッドライトをはじめとしたフロントマスクは一新された。リヤエンドもバンパーとリヤコンビレンズのデザインを大きく変更したことで、グレンジャーやソナタと同じデザインエッセンスとした。
安全装備も追突軽減ブレーキレーンキープアシストつブランドスポットモニターを標準装備している。
なお前期型Sportはミニ四駆PROとして商品化(ITEM 92382)されている。レーシングタイプのミニ四駆において実在の車両を元ネタとする例は極めて少ないが、本製品は韓国限定モデルのためパッケージやマニュアルはほぼ全てがハングル表記となっている。
2020年3月17日、ハリウッドにてワールドプレミア。北米仕様に初設定となるハイブリッドモデルも同時発表された。
7代目エラントラ/アバンテは“Parametric dynamics” と呼ばれるテーマに基づいてスタイリングが行われている。現代自動車グループ副社長兼CDO(最高デザイン責任者)のルク・ドンカーヴォルケは「7代目エラントラ/アバンテは初代モデルのように大胆なキャラクターを持つ」と述べている。
北米仕様のエラントラには最高出力147hp@6,200rpm、最大トルク132lb-ft@4,500rpmを発揮する2.0L MPIエンジンが搭載され、これに現代自動車グループ独自のインテリジェント・バリアブル・トランスミッション (IVT) が組み合わせられる。韓国仕様のアバンテでは1.6リットルMPiガソリンエンジンと1.6リットルLPGラインナップを置いている。
エラントラハイブリッドには1.6L GDIアトキンソンサイクルエンジンと32kWのモーターが搭載され、合わせて最高出力139hp、最大トルク195lb-ftを発揮する。このエンジンに6速デュアルクラッチトランスミッションが組み合わせられる。リアシートの下に搭載されるリチウムイオンポリマーバッテリーは1.32kWhの容量となる。
2020年下半期には従来の「エラントラスポーツ」に代わる「エラントラNライン」が発表された。 従来と同じ201hpの性能を提供する1.6Lガソリンターボエンジンが搭載され、内外装に専用デザインとNラインロゴを配置したのが特徴。
車台は第3世代のCompact Sized K3 Vehicle Platformが採用されている。