ダイハツ・ミライース
ミラ イース("Mira e:S")は、ダイハツ工業が製造・販売する軽自動車である。ミラをベースにした5ドアハッチバック型乗用車(軽セダン)であり、ミラシリーズ(2018年3月から6月までの3か月間を除く)としてダイハツの軽乗用車ラインナップのエントリークラスを担う。ミライースの発売と入れ替わる形で販売終了となったエッセ同様、商用モデル(軽ボンネットバン)は設定されていない。
本項では、ベースとなった2009年に発表されたコンセプトカー『イース』("e:S")についても合わせて記述する。
ミライースは昨今の環境意識や低価格志向の高まりを受け、誰もが気軽に乗れる『第3のエコカー』をコンセプトに開発された。2009年に発表したコンセプトカー『イース』の市販(量販)バージョンである。
ダイハツが持つ既存の技術を徹底的に見直し、車両構造の見直しによる車両の軽量化・トランスミッションの改良・エンジンの改良などで、従来比で40%燃費性能を改善した『e:Sテクノロジー』を採用した。
エンジンは圧縮比の向上やインジェクター噴霧微粒化等により燃焼効率を高め、「i-EGRシステム」を採用するなど、細部にわたる改善を行うことでメカニカルロスを極限まで低減。さらに、電子スロットルによる協調制御を採用することで、運転状況に応じて最も効率の良い状態を維持する。CVTもオイルポンプの高効率化によって排出量を高め、CVT制御圧も低圧化することで動力伝達効率を向上。これによって変速ギア比を最適化(ハイギア化)することでエンジン負荷も低減された。
ボディは安全性や快適な乗り心地を保ちながら、シェルボディを骨格合理化。さらにインパネなどの樹脂部分の薄肉化やシート骨格の軽量化など内装部品の軽量化やアイドリングストップ用CVTの軽量化も行ったことで、ミラの2WD・CVT車に比べ、約60kgの軽量化を実現。さらに、フロントのコーナー形状の改善や床下流速の減速を行うことで空気抵抗を抑え、前述の軽量化やベアリング、ブレーキの改善を行うことで転がり抵抗も低減された。
さらに、ムーヴやコンテの一部のグレードに搭載されているアイドリングストップ機構「eco IDLE(エコアイドル)」も全車標準装備されているが、ミライースの「eco IDLE」はガソリンエンジンのCVT車では世界初となる停車前アイドリングストップ機能を追加。ブレーキをかけ、速度が7km/h以下になると自動でエンジンを停止してアイドリングストップ時間を増やしたことで燃費を向上。また、専用部品を減らしたことで軽量化・コンパクト化を実現した。
これらの技術により、JC08モード燃費において、2WD車で30km/L、4WD車でも27km/Lの優れた低燃費性能を実現した(いずれも発売当初)。
一方で、機能の垣根を越えた徹底的な低コスト活動を実施。部材配置・形状・材料選定、仕様を見直したことで部品数の削減や約60kgの車体軽量化により原価低減活動を行ったことで、車両本体価格79.5万円(消費税込・「D」)から122.0万円(消費税込・「Gf」)までのリーズナブルな価格設定を実現している。
ミライースは発売以来累計で19万台以上の販売を記録し、ミラシリーズ全体の販売量を伸ばす要因となったことで、2012年(2012年1月 - 12月)はミラ・ココアを含むシリーズ合計の新車販売台数が218,295台を記録、無印ミラを押さえてミラシリーズの筆頭車種に躍り出た。総合ではプリウスシリーズ(トヨタ自動車)には及ばなかったものの、軽自動車部門では首位獲得となった(ただし、年度単位(2012年4月 - 2013年3月)では年度単位開始月から好調だったホンダ・N-BOXが逆転で新車販売台数第1位を獲得している)。
製造はダイハツ九州大分(中津)工場で行われる。
カッコ内は初代ミラ(ミラクオーレ→無印ミラ)からの通算。
コンセプトカーイース("e:S")は、2009年に開催された第41回東京モーターショーに出展されたモデル。2011年から発売された『ミライース』の元になった。
2009年10月7日に、ダイハツより出展することを発表。モーターショーのメインとされた。
車体の軽量化による燃費改善をめざし、10・15モード燃費で1リッターあたり30kmの燃費と、低CO2排出量を実現した。エンジンも、これまでのKF型を元に、触媒早期活性化装置の搭載などで従来技術に基づいた設計をしている。
市販モデルと異なり、車体は小型化され車長は300mm程度短縮、ホイールベースも短縮、2ドアのマイクロクーペとされた。
市販版と同様に「軽量化・低燃費・低価格」をコンセプトとし、反応次第では市販版を2年から3年以内に販売するとした。また、軽自動車では重量増になるハイブリッド技術などを搭載しない方針。